歯周病とは?
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる歯ぐきや顎の骨の病気です。
歯ぐきに炎症が起きて腫れたり、歯を支える骨などが溶ける症状があらわれます。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)に細菌が存在すると、歯肉の辺縁が炎症を起こして発赤したり腫れたりしますが、痛みはほとんどない場合が多いです。さらに進行すると膿が出たり歯が揺れたりするようになり、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。
歯周病の症状は?
- 歯磨きしたときに、歯ぐきから出血する
- 歯ブラシやうがいをした水に血が混じっている
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ぐきが下がってきた気がする
- 口の中がネバネバする
- 口臭が強くなった気がする
- 歯がグラグラ揺れている
- 歯が浮いたような気がする
- 出っ歯やすきっ歯になった気がする
- 歯と歯の間に食べものが詰まりやすい
これらが、歯周病の代表的な症状です。一つでも当てはまることがあれば、歯周病の可能性があります。
歯ぐきが下がるのも歯周病のサイン
「歯ぐきが下がった気がする」「歯の根元が見えている」「歯が長くなったように見える」などのお悩みがある場合、歯ぐきが下がる歯肉退縮が起きているかもしれません。
歯肉退縮が起こる原因としては、磨き残しや矯正治療の影響、歯ぎしり・食いしばり、顎の骨の形状や歯周病の進行などが考えられます。
歯ぐきが下がると、審美性の問題だけでなく、知覚過敏になったり歯の根元にむし歯ができたりするリスクも高まります。自然に治癒する可能性は低く、症状によって外科的な治療(結合組織移植術など)を行います。
歯ぐきのお悩みは、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
結合組織移植術とは
結合組織移植術(CTG)は、歯ぐきが痩せて後退してしまった部分に、患者様の上顎の内側から採取した結合組織(歯ぐきの内側の組織)を移植する治療法です。これにより、歯ぐきの厚みや高さをある程度まで回復させることができます。
薄くなってしまった歯ぐきの厚みを補うことで、審美性や清掃性が改善されるほか、さらなる歯ぐきの退縮を予防する効果が期待できます。
※自由診療です。8,000〜110,000円(1歯あたり)
※術後に腫れや痛みが起こる場合があります。
※目安の通院回数:約2~4回
※治療の流れ:上顎の内側(口蓋)から結合組織(歯ぐきの内部のやわらかい組織)を採取し、歯ぐきが下がってしまった部分や薄くなった部分に移植します。
歯周病を
放置するリスク
歯周病を放置するリスクとして知っていただきたいのは、大きく分けて以下の3つです。
- 食事の際に食べものを噛みづらくなる
- 歯を失う可能性が高くなる
- 全身疾患につながる可能性がある
歯周病は、細菌によって発症するお口の病気です。これまではお口の中だけの問題ととらえられていましたが、現在では全身疾患との関連性も多く報告されており、健康に害を及ぼす可能性があることも明らかになってきました。
そのため、放置をせずに早期治療を受けることがあなたの歯を守ることにつながるのです。
歯周病と全身疾患について
ここで少し、歯周病と全身疾患の関連について触れておきます。
歯周病菌は毛細血管を通じて血流に入り込み、毒素を出します。それと同時に、毒素への免疫反応による物質が全身をめぐります。これが、歯周病と全身疾患の関係が深いといわれる理由となります。
特に歯周病との関連性が強いとされている疾患として、心疾患・脳血管疾患・糖尿病などの慢性疾患のリスクが高くなるといわれています。
近年、糖尿病の患者様が歯周病治療を受けると、数値が改善されたという例も数多く報告されています。歯周病を放置せずに、早めに治療を受けることが重要です。
歯周病の進行度合い
歯肉炎
歯肉炎になると、プラークにより歯ぐきが腫れて赤色を呈し、ブラッシング時の出血が気になるようになります。この時期にはまだ歯槽骨の吸収などの影響はなく、適切なプラークコントロールを行えば、元の健康な状態にまで改善します。
軽度歯周炎
歯肉炎から歯周病が進むと、歯槽骨(歯を支える骨)が炎症によって溶かされ始め、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」と呼ばれるすき間が作られます。しかし、この段階から治療やプラークコントロールを行うことにより、健康な状態を取り戻すことができます。
中等度歯周炎
軽度歯周炎の症状に加えて、歯槽骨や歯根膜などの歯周組織の破壊も始まり、歯肉退縮(歯ぐきの下がり)が見られるようになります。歯周ポケットはさらに深くなり、歯根に歯石が付いてきます。こうなるとポケットの中まで歯ブラシの毛先が届かなくなり、さらに歯周病が進行していきます。
重度歯周炎
歯槽骨の3分の2以上が吸収され、歯周ポケットは非常に深くなり、歯に動揺が認められるようになります。このような症状があると食べものも噛みづらく、歯ぐきも頻繁に痛みを伴って腫れるようになります。状態によって、抜歯が必要になることが多いです。
歯周病の治療について
歯周基本治療
歯周基本治療は、歯周病治療において最も重要な治療です。目的は、歯周病の原因を除去し、治療後に歯周病が再発しにくい口腔環境を作ることです。当院の歯周基本治療では、以下のことを目標にしております。
歯周基本治療の目標
- 急性症状を和らげる:歯周病によって生じる痛みや腫れなどの症状を和らげます
- 慢性炎症を軽減する:歯垢、歯石などを除去することによって、歯ぐきの炎症を軽減させます
- 歯周病を悪化させている原因を除去する:歯周病を悪化させている要因(リスクファクター)を取り除いていきます
- 歯周病の進行を食い止める:患者様のお口の中の状態に合わせて、ブラッシング指導や食事指導などを行うことにより、歯周病が進行しにくい環境を作ります
歯周外科治療
中等度から重度の患者様のうち、歯周基本治療で歯周病の改善が難しい場合は、外科治療が必要となります。
FOP(Flap Operation:
歯肉剥離掻爬術)
FOP(歯肉剥離掻爬術)とは、歯周基本治療では除去することのできなかった、歯根や歯槽骨に付着した歯石を除去する手術です。
歯周ポケットが深い場合に有効で、歯肉を開くことで、基本治療中に除去できなかった歯石を残さずにしっかりと取り除くことができます。最初に歯肉に局所麻酔をしてから、メスで歯肉を切開します。歯肉を剥離して付着している汚れや歯石をスケーラーでしっかり取り除き、縫合して終了です。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病により失われた歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を再生させることが目的です。
歯周基本治療によって症状が安定しなかった病変が、再生療法の適応症であるかどうかを見極めることが大事になります。そのため、レントゲン写真に加えて、骨欠損形態を把握するために歯科用CT(コーンビームCT)を撮影する場合があります。
手術に関しては、歯肉を切開し、プラークや歯石、炎症性組織を除去します。その後、骨が欠損している部位に歯周組織再生材料を注入して縫合します。
術後は、患部の確認やケアを月1~2回の頻度で定期的に行います。術後6ヶ月〜1年ほど経過を観察したあとに、歯周組織の再検査および再評価を行います。
歯周組織再生療法前
歯周組織再生療法後
当院の
歯周病治療の特徴
院長は、日本歯周病学会の認定医です。歯周病に関する専門的な知識を活かして、歯周病患者の皆様の治療に全力を尽くします。
また、歯周基本治療を担当する歯科衛生士の教育にも力を入れており、チームで患者様の歯周病を解決していけるような取り組みを行っています。
歯周病治療の流れ
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症状の検査
歯周ポケットの深さや歯ぐきからの出血の有無、歯の動揺度(ぐらつき度合い)を調べていきます。検査の結果、歯周ポケットの深さが3mm以下であれば正常と診断されますが、4mm以上であれば歯周病となります。
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歯磨き指導
歯周病治療の最も基本的な内容は、歯磨きです。自宅できちんとお口の管理ができるようになることを目標とします。
歯周病の原因は細菌なので、細菌が悪さをしないような状態を維持することを「プラークコントロール」と呼びます。日々の歯磨きが、歯周病の改善や歯周病治療後のお口の健康を守るためのよい習慣につながります。
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歯垢・歯石除去(スケーリング)
歯ぐきより上の部分にある歯垢や歯石の除去を行います。歯垢は細菌の塊で、歯石はその塊が石灰化して石のようになったものを指します。
歯石は細菌が好む場所となるため、取り除かないと歯周病菌が増殖してしまいます。きちんと取り除き、歯周病菌が悪さをできないような環境を作ります。
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歯周ポケットと出血の検査(再評価)
これまで行ってきた治療の評価を再度行います。これを再評価といいます。
歯周ポケットの深さや出血度合いなどを検査し、どれだけ改善したかを把握していきます。症状が改善されていた場合は、定期健診(メンテナンス)に進みます。改善されなかった場合は、次の治療ステップに進みます。
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スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
歯と歯ぐきの間に潜んでいる歯石や、歯周ポケットの中にある歯石を除去していきます。
また、歯石を取り除いた後、歯の根っこの表面を滑沢化し、プラークが付着しにくい状態を作ります。これをスケーリング・ルートプレーニング(SRP)といいます。
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歯周外科治療
これまでの歯周病治療を行っても改善されなかった場合は、歯周外科治療に進みます。
歯ぐきを切開し、歯周病の原因にアプローチしやすい環境を作り出した上で、歯石などを徹底して除去していきます。歯槽骨(歯を支える骨)の溶かされ方によりますが、適応となる場合には歯周組織再生療法を行い、骨の再生をめざす治療も行います。
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補綴治療(被せ物・義歯)
歯周病の進行状態によって異なりますが、治療後には被せ物や、抜歯した歯を補うための欠損補綴(インプラント、ブリッジ、入れ歯など)を行う必要があります。かみ合わせをきちんと整えることで、歯周病の治療からメンテナンスへと移行していきます。
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定期健診・メンテナンス
患者様のお口の状態によりますが、おおむね3〜4ヶ月に1回の頻度でメンテナンスを行います。歯周病が再発しにくくなるように、原因である歯垢や歯石の除去を行います。歯周病は再発を繰り返しますので、メンテナンスを怠らずに頑張りましょう。
歯周病の症例紹介
CASE1:30代女性の症例
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Before
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After
| 年齢 | 30歳 |
|---|---|
| 性別 | 女性 |
| 主訴 | 歯ぐきからの出血が気になる |
| 診断 | 下顎左側第一大臼歯 垂直性骨吸収 |
| 治療内容 | エムドゲイン+自家骨 |
| 治療期間 | 2年 |
| 治療の 一般的な リスク |
メンテナンスを怠ると歯周病は再発します。また、禁煙に協力していただけない場合、計画通りの成果が出ない可能性が高まります。 |
| 費用 | 198,000円(自家骨採取の料金も含む) |
CASE2.45歳男性の症例
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Before
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After
| 年齢 | 45歳 |
|---|---|
| 性別 | 男性 |
| 主訴 | 歯茎が腫れて、歯磨き時に出血する |
| 診断 | 上顎左側第一小臼歯 垂直性骨吸収 |
| 治療内容 | 歯周基本治療、エムドゲイン |
| 治療期間 | 2年 |
| 治療の 一般的な リスク |
メンテナンスを怠ると歯周病は再発します。また、禁煙に協力していただけない場合、計画していた結果が出ない可能性が高まります。 |
| 費用 | 65,000円 |
CASE3.60代男性の症例
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Before
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After
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Before
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After
| 年齢 | 60歳 |
|---|---|
| 性別 | 男性 |
| 主訴 | 歯周病が重度のため他院で抜歯してインプラントを勧められているが、抜きたくない |
| 診断 | 下顎左側第一大臼歯 根分岐部骨吸収 |
| 治療内容 | 歯周基本治療、FOP(歯肉剥離掻爬術+歯根分割術) |
| 治療期間 | 6ヶ月 |
| 治療の 一般的な リスク |
メンテナンスを怠ると歯周病は再発します。また、禁煙に協力していただけない場合、計画していた結果が出ない可能性が高まります。 |
| 費用 | 100,000円 |
歯周病で
お悩みの患者様へ
当院では、日本歯周病学会 認定医の院長が診断と診療を行います。
長年にわたる大学病院での勤務経験も活かしながら、患者様に合った治療計画をご提案します。お気軽にご相談ください。
